アルコール依存症[商品]

アルコール依存症とは

アルコール依存症とは、長期にわたって大量にアルコールを摂取することで、飲酒をコントロールできなくなる精神疾患です。

アルコール依存症では、長期の飲酒によって、快感をもたらす脳内の報酬系の神経機能が変化することで、脳機能障害を引き起こしてしまいます。
精神面だけでなく、身体面にも症状があらわれ、仕事や家庭など日常生活にも支障をきたす場合もあるのです。

アルコール依存症の原因

習慣的にアルコールを摂取すると耐性が形成され、少量のアルコールでは酔いを感じられなくなり、徐々に飲酒の量が増えていきます。
次第により強い刺激、快感を求めるようになることで、アルコールへの依存が形成されることが原因と考えられています。

そのため、習慣的に多量の飲酒をしていれば、老若男女問わず誰でもアルコール依存症になる可能性があるのです。

なお、多量の飲酒とは、1日の飲酒量が厚生労働省の定める適切な飲酒量の3倍を超えることを指します。

※出典：厚生労働省-健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて

適切な飲酒量をオーバーし続けることで、さまざまな病気のリスクも高まるため、自分のアルコール摂取量を把握しておくことが大切です。

アルコール依存症になる要因

アルコール依存症になる要因はさまざまで、複数の要因が重なることで発症リスクも高まります。

主な危険要因として、以下があげられます。

・多量の飲酒
・アルコールを分解する能力が高い体質
・未成年からの飲酒
・胎児期に母親が頻繁に飲酒をしている
・遺伝と家庭環境（家族がアルコール依存症）
・うつ病や不安障害、パニック障害、摂食障害など他の精神疾患を合併しているなど

これらの要因を満たすことで、必ずしもアルコール依存症になるわけではありません。

しかし、どれかひとつでも当てはまるものがある場合は、発症する可能性が高くなるといわれています。

アルコール依存症の症状

アルコール依存症の症状には、精神依存と身体依存があります。

飲酒の量をコントロールできない精神依存、体内からアルコールが切れることで震えなどの症状があらわれる身体依存の2つです。

症状が進行していくことで、アルコールの多量摂取による身体障害や日常生活への影響、事故を引き起こす可能性もあります。

飲酒をやめると、さまざまな症状があらわれるため、症状を抑えるために多量飲酒してしまうという悪循環に陥ることも少なくありません。

精神依存

精神依存とは、アルコールに対して病的に強い欲求を持つ状態です。

精神依存では日常生活の中で飲酒が生活の中心となってしまい、以下のような症状があらわれます。

・飲酒したいという渇望が抑えられない
・飲酒のコントロールがきかず節酒できない
・飲酒以外の娯楽を無視する
・精神的、身体的問題が悪化しても断酒しないなど

身体依存

飲酒をやめたり飲酒量を減らしたときに体にさまざまな症状が出現することを身体依存といいます。

身体依存では、以下のような症状があらわれます。

・飲酒の中止または減量により離脱症状（禁断症状）があらわれる
・以前と比較して酔うために必要な酒量が増えるなど

離脱症状

アルコール依存症の具体的な離脱症状は、以下の通りです。

・手や指の震え
・頭痛
・発汗
・不安
・イライラ
・不眠
・吐き気、嘔吐など

これらの症状以外にも、重症化することで幻覚やけいれん、時間や自分がいる場所などを認識できない見当識障害を引き起こす場合もあります。

アルコール依存症の進行ステージ

アルコール依存症は進行状態によって、以下の4つのステージに分けられます。

・依存症との境界線
・依存症初期
・依存症中期
・依存症後期

依存症の境界線は多量の飲酒が習慣化する前段階であり、少量では物足りず二日酔いになるまで飲んでしまう状態です。
依存症になる一歩手前ではありますが、二日酔いで日常生活や仕事に影響がでる可能性があります。

初期段階では多量飲酒が日常的になり、飲酒しないと寝付けなかったり、飲酒時の記憶を頻繁に失うようになったりします。
この段階から、すでに依存症を発症している可能性が高いです。

そして、中期の段階では、飲酒のコントロールができなくなり、体が無意識にアルコールを求めるようになります。

さらに、後期の段階になると飲酒以外に関心がなくなっていき、日常生活や仕事が困難な状態になります。
肝硬変などの病気を発症する可能性があり、命に危険が及ぶ恐れもあるのです。

アルコール依存症の治療

アルコール依存症の治療は、断酒、心理社会的治療、薬物療法などがあります。

依存から抜け出すためには断酒が原則ですが、症状が進行していて難しい場合は、心理社会的治療が中心になります。

心理社会的治療は、断酒する気持ちの維持などの心理的サポートによって、継続的に飲酒量を減らして断酒を目指す治療方法です。

また、薬物療法は心理社会的治療の補助として用いられることが多いですが、依存症の再発防止にも役立ちます。

治療期間

症状や依存の程度によって治療期間は異なりますが、通常、回復するまでには数年かかるといわれています。

なお、一般的には断酒期間が約3年間継続できれば安定した日常生活を送れるようになるとされています。

しかし、3年間断酒に成功したとしても誘惑に負けたり、断酒によるストレスなどで精神が不安定になることで飲酒してしまい、アルコール依存症を再発してしまうケースも多いです。

そのため、治療終了後も再発防止のために徹底した自己管理が必要になります。

アルコール依存症の薬

アルコール依存症には心理社会的治療が一般的ですが、治療をサポートするために薬物療法が用いられます。

薬物療法で使用される医薬品は、以下のとおりです。

・抗酒薬
→飲酒後の不快反応を利用して飲酒を断念させる

・断酒補助薬
→脳に作用して飲酒の欲求を抑える

・飲酒量低減薬
→飲酒量を低減させる

いずれも作用メカニズムが異なるため、症状や体調、治療目的によって使い分けられます。

次の項目では、アルコール依存症の治療に用いられる薬の特徴をそれぞれ詳しく解説していきます。

抗酒薬

抗酒薬とは、飲酒時の嫌悪感や不快感を与え、飲酒欲求を抑制する医薬品です。

肝臓でアルコールが分解される際に、アセトアルデヒドという毒性の高い物質が発生し、悪酔いを引き起こします。
抗酒薬は、アセトアルデヒドの分解酵素の働きを阻害する作用があり、あえて体内のアセトアルデヒドの濃度を上昇させることで酔いが回りやすくなります。
そのため、少量の飲酒でも悪酔い状態になり、アルコールに対する嫌悪感が増すのです。

なお、当サイトでは、以下の抗酒薬を取り扱っています。
抗酒薬で禁酒を目指す方はチェックしてみてください。

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断酒補助薬

断酒補助薬とは、脳を興奮状態にする神経の働きをブロックし、飲酒欲求を抑える医薬品です。

アルコール依存症では、興奮性神経伝達物質のグルタミン酸が活性化しているため、脳が興奮状態となり飲酒のコントロールが困難になります。
そこで、断酒補助薬の作用が脳神経に働きかけることで、グルタミン酸の過剰な活動を抑え、お酒に対する欲求や気持ちの高ぶりを抑えることができるのです。

当サイトでも断酒補助薬を取り扱っているため、断酒補助薬で禁酒を目指す方はチェックしてみてください。

商品名	クロノール（ジスルフィラム）
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飲酒量低減薬

飲酒量低減薬とは、飲酒量の低減をサポートする医薬品です。

アルコールを摂取すると、脳内伝達物質であるエンドルフィンが、中枢神経系に存在するオピオイド受容体と結びつくことで幸福感が生まれます。
飲酒量低減薬は、そのオピオイド受容体をブロックする作用があり、飲酒による快感や幸福感が得られなくなるため、飲酒欲求を抑えられるのです。

通常、飲酒量低減薬は心理社会的治療のサポートとして使用されることが多く、併用することでより効果的に飲酒量を低減できます。

アルコール依存症セルフチェック

アルコール依存症の疑いがある方がセルフチェックできるツールとして、WHO（世界保健機構）が中心となって開発されたAUDITというアルコール依存症度を評価するテストがあります。
10項目の質問で構成されており、10項目の合計点で結果を判断できます。

最近1年間の飲酒の仕方を振り返りながら、チェックリストに答えてみましょう。

解答番号を合計した点数の持つ意味は、以下の通りです。

合計点が10点以上であった方は、仕事や生活に支障をきたす恐れがあるため、節酒や断酒を検討してください。
なお、自力での節酒や断酒が困難で、離脱症状などがみられる場合は専門医への相談をおすすめします。

アルコール依存症の予防方法

アルコール依存症の予防方法は、以下のとおりです。

・アルコール依存症に対する正しい知識を持つ
・適量を守って飲酒する
・週2日以上休肝日を設ける

厚生労働省の健康日本21による節度のある適度な飲酒量は、1日平均純アルコール20g程度とされています。
度数5％のビールであれば500ml、度数7％のチューハイは350ml、日本酒は1合程度に相当します。

なお、女性の場合は、男性に比べるとアルコールの分解スピードがゆっくりであるため、20gの1/2～2/3程度が適量です。

※出典：厚生労働省-健康日本21

このように適度な飲酒を意識することで、アルコール依存症を予防できます。

よくある質問

アルコール依存症についてのよくある質問にお答えしていきます。

酒好きとアルコール依存症の違いは？

酒好きとアルコール依存症の違いについての明確な基準はありませんが、以下のような違いがあげられます。

・飲酒の量や時間をコントロールできるか
・飲酒を控えるべき状況で控えられるか

酒好きの方の場合は、飲酒量を調節できるため、お酒を控える場面ではしっかりと控えることができます。

一方、アルコール依存症の方は、飲酒量の調節ができないため、お酒を控えるべき場面でも適量に留めることができません。

アルコール依存症は何科を受診すればいい？

心療内科や精神科などアルコール依存症を専門としている医療機関を受診してください。

また、一般内科や総合病院などでも治療をおこなっている場合もあります。

なお、各都道府県にはアルコール依存症の治療について相談できる保健所があります。
依存症についての相談や何科を受診するべきかなど、本人だけでなく家族も支援を受けることができます。

アルコール依存症になりやすい酒はある？

アルコール依存症になりやすい酒の種類について、現時点では正式な見解は明らかにされていません。

アルコール度数の高いお酒は、血液中のアルコール濃度が上昇しやすくなるため、依存症になるリスクが高まると考えられています。

ただし、アルコール度数が低いお酒であっても飲酒の習慣や飲み方によって、発症する可能性もあるため、十分に注意が必要です。